コーティングの役割
テントの織物は、それだけでは糸と糸のすき間から水を通します。コーティングがそのすき間を埋めるか覆います。仕様書ではその結果を耐水圧として報告します。これは水が通り抜けるまでに生地が耐えられる水柱の高さをミリメートルで表したもので、ISO 811で測定します。1,500 mmや3,000 mmといった数値は生地に関する業界の慣例であり、法的な基準値ではなく、試験装置にセットしたコーティング生地を表すもので、雨の中に設営したテントを表すものではありません。
コーティングは引裂強度、重量、風合い、収納のしやすさ、縫い目の処理方法、生地の経年変化も変えます。2つの見積で同じ基布に異なるコーティングが記載されている場合、バイヤーが比較すべきはこれらの特性です。
PUコーティング
ポリウレタン(PU)は、ファミリー、ドーム、キャビン、インスタント、エアテント全般で標準のコーティングです。ポリエステルやナイロンの片面、通常はフライの内側とフロアの表面または裏面に、1回以上塗布します。塗布回数が多いほど耐水圧が高くなり、生地は重くなります。
- 接着と縫い目:PUは熱圧着のシームテープとよく接着するため、テープ貼り機による量産に適しています。ファミリーテントがPUを使う主な理由です。
- コスト:シリコンより低く、江蘇省や浙江省の生地工場から広く入手できます。
- 経年劣化:PUは数年かけて加水分解で劣化することがあり、特にテントを湿った暖かい場所に保管した場合に起こります。コーティングがべたつき、においを発し、はがれます。保管方法の案内はコーティングそのものと同じくらい重要です。
- 引裂強度:PUは生地の引裂強度をほとんど高めず、生地をやや硬くすることがあります。
シリコンコーティング
シリコンは片面に塗布するのではなく、多くの場合両面から生地に含浸させます。シルナイロンとも呼ばれるシリコン加工ナイロンやシリコン加工ポリエステルは、公開商品情報の20D参考モデルを含む軽量バックパッキングテントの典型的な生地です。
- 接着と縫い目:シリコンには標準のシームテープを含め、ほとんど何も接着しません。縫い目は通常、シリコン系シーラントで手作業でシーリングし、工数がかかるうえ、使用者が後で再シーリングするための案内も必要です。
- 引裂強度:シリコンは糸がすべって荷重を分担できるようにするため、同じ重量で引裂強度が大きく向上します。薄い生地に適する主な理由です。
- 経年劣化:シリコンはPUのように加水分解しないため、一般的に保管中の劣化が少なくなります。
- 風合い:すべりやすく、小さく収納できる反面、縫製ラインや設営時には扱いにくくなります。
- コスト:高く、対応できる生地工場も少なくなります。
ハイブリッドコーティング
よく使われる中間の方法は、外側の面にシリコン、内側の面にPUを施すものです。外側はシリコンの引裂強度と撥水性を得て、内側はPU生地のようにシームテープを貼れます。手作業でのシーリングに移行せずにテントを軽くしたいブランドに適しています。PUのみより高価で、仕様は明確に記載すべきです。見積に「シリコンコーティング」とあるだけでは、全面シリコンかハイブリッド生地かのどちらとも取れるからです。
フロアは独自の考え方に従います。フロアは摩耗と地面からの圧力を受け、隅の縫い目にシームテープが必要なため、多くはPUコーティングのポリエステルやオックスフォード、エントリーモデルではPEシートを使います。シリコンのフロアは最軽量のテントにのみ見られ、バイヤーはグランドシートの併用を勧めることを想定しておくべきです。テントのフロア素材をご覧ください。
コーティングの比較
| 特性 | PU | シリコン | 外側シリコン・内側PU |
|---|---|---|---|
| 縫い目の処理 | 熱圧着テープ | 手作業でシーラントを塗布 | 内側の面にテープ |
| 引裂強度の向上 | 低い | 高い | 中から高 |
| 保管中の経年劣化 | 湿った暖かい場所で保管すると加水分解の可能性 | 一般的に安定 | 内側の面はPUと同様 |
| 主な製品ライン | ドーム、キャビン、インスタント、エア、フロア | バックパッキング | 軽量ドーム、トレッキングテント |
| 相対的なコスト | 低い | 高い | 両者の中間 |
これらはカテゴリー全体の一般的な傾向です。注文のコーティングは、種類、塗布面、塗布回数、完成生地重量、試験報告書による耐水圧によって定義されます。
コーティング以上に縫い目が決め手になる
耐水圧の高い生地でも、縫い目にシームテープがなかったりシーリングが不十分だったりすれば、縫い目から漏れます。針穴はコーティングを貫通し、水は糸を伝わります。PU生地では、検品計画にテープの接着確認とシームテープ処理した縫い目への散水を含めるべきです。シリコン生地では、負荷のかかるすべての縫い目とペグループの周りにシーラントが塗布されているかを確認すべきです。ファスナー、フロアの隅、ピンと張った設営も同じくらい重要です。確認方法はシームテープの記事と縫い目と防水処理のページで説明しています。
保管と手入れの案内
PUコーティングに関する苦情の多くは、使用ではなく保管から生じます。濡れたまま収納して車のトランクやガレージに放置したテントが典型例です。取扱説明書と下げ札では、保管前にテントを完全に乾かし、涼しく乾燥した場所にゆったりと保管し、洗濯機や溶剤系クリーナーを避けるよう案内すべきです。同じ案内でカビも防げます。テントのカビ対策をご覧ください。夏の間在庫を抱える販売代理店は、カートンを床から離し、熱源から遠ざけて保管すべきです。
撥水加工は別の層
外側の面のDWR加工は水を玉にして転がり落ちるようにするもので、防水コーティングではありません。多くのフライには両方が施されています。市場がフッ素系物質を規制するにつれてDWRの化学組成は変わりつつあり、正しい表現は「フッ素フリーのDWRオプション」で、市場が求める場合は試験報告書で確認します。DWRとフッ素フリー加工をご覧ください。
ラインナップに合わせたコーティングの選択
ファミリーやオートキャンプのラインナップの多くは、ポリエステルにPUのままでよいでしょう。テープが貼りやすく、コストが低く、機械生産に適しています。バックパッキングの製品ラインではシリコンやハイブリッドが妥当で、縫い目の処理方法と手入れの案内を仕様書に記載します。いずれを選ぶにしても、商品ページにはISO 811試験報告書による耐水圧とともに耐水性能表示のある生地と記載し、テント全体を水を通さないものとして表現すべきではありません。
既存スタイルのコーティング変更は、生地サプライヤーや縫い目の工程が変わる可能性があるため、通常は注文ごとに評価します。一般的な開始数量とリードタイムはMOQとリードタイムに掲載しています。製品ラインと目標重量を見積フォームからお送りください。
